長州ファイブ・映画「長州ファイブ」とマンガ「長州ファイブ」

教科書で読んだ記憶があります、「長州ファイブ」
ずっと気になりながら気にしているままだったのですが、
ある休日、ふと決意(?)して、映画「長州ファイブ」をネットで観てみました。

そのあとすぐ、この映画のコミカライズという位置づけの、
マンガ「長州ファイブ(全二巻)」を読みましたのでそれらについて少し。

●「長州ファイブ」

「長州五傑」とも言うようです。
かの有名な五名の集合写真(この写真。ウィキペディアに飛びます)は、
今までも何度か見たことがありました。
(どれが誰かはちっとも覚えないままだったんですが。)

幕末の動乱の中、当時の国禁を犯して、秘密裏に英国留学を果たした長州藩士五人のことで、
山尾庸三
井上勝
遠藤謹助
井上馨
伊藤博文
が、その顔ぶれです。(当時は違う名前を名乗っていた人が複数います。)

この五人は、“密航”ではありますが藩から認められて、いわば派遣されて英国に渡っています。
が、当時長州藩は強硬な攘夷(「破約攘夷」)を方針としていたということで、
そのへんのことが、以前からよくわからない感じはありました。

(だいたいにおいて、幕末は複雑怪奇。
みんないろんなこと言うし態度やら旗色やらはコロコロ変わるし、
「尊王」と「攘夷」はごっちゃごちゃで、「尊王」度と「攘夷」度の濃度も配合もいろいろなのに
なんだか一緒くたにされたりするし、あまつさえ表と裏があるし・・・。
正直まだよく理解できていません。)

その「わからない」ところを多少解説してくれる本に出会って嬉しかったのですが、
それはまた次の記事で書くとして、さて、映画です。

●映画「長州ファイブ」

長州ファイブ』(ちょうしゅうファイブ)は、2006年製作の日本映画。萩市・下関市の地元企業や市民の全面協力体制で創られた地方創世映画である。
長州五傑(長州ファイブ)と呼ばれ、幕末に長州藩から派遣されてヨーロッパに秘密留学した、井上聞多(井上馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(伊藤博文)、野村弥吉(井上勝)の5人の長州藩士の渡航前後の様子を描く。

ウィキペディアより

監督・脚本:五十嵐匠
山尾庸三:松田龍平
井上勝(野村弥吉):山下徹大
井上馨:北村有起哉
伊藤博文(伊藤俊輔):三浦アキフミ
遠藤謹助:前田倫良

長州藩勢による英国公使館焼き討ち事件(1863年)に始まり、その後五名が英国留学を志し奔走する様、実際に船に乗り込み英国に渡る場面、その後の英国生活までを描いています。
映画が終わる時点では、五人全員が帰国しているわけではありません。

主役格は山尾かな。
映画終盤近くには、特に彼に焦点が当てられています。

内容について深く踏み込むのはネタバレにもなりそうなので避けますが、
簡単に感想を述べますと

あー、映画作ってるなーと思わせる画面。
焼き討ちにされた英国公使館や、グラスゴーの造船所のセットは、大掛かりで凝っていて、印象的でした。
冒頭シーンほかでもちょくちょくそう思いました。
映画を撮るぞ、と言って撮ってらっしゃる気がします。

ほぼ知識なしで見たので、最初は山尾が主役格だったことがすこし意外でした。
でも、五人の人物が居れば、誰に焦点を当てるかも作り手の創作の範囲なので、そこはただそうなのか、と思うのみ。

続けて読んだユキムラさんのマンガ「長州ファイブ」も、この映画のコミカライズですから山尾をリーダー格っぽく書いています(でもやっぱり目立ちそうな人間が目立ってた)。
さらに続けて読んだ「日本の伝記・長州ファイブ」でも山尾の存在感がやはり大きい。

「日本の伝記」も萩の明治維新150年事業として発行されているから、萩での山尾の評価が高いということなのか。それとも一般的に山尾が評価されているのか。実際リーダー格だったのか。
これについては、もっと他の本など読んでみないとわからないところです。

半端に知識のある状態で見たので、映画に登場する誰が誰のこと(のちに名前を変える人が多いので)だろうこの人は誰だろうとずっと気にしながら見ていまして、それは映画を楽しむうえで少し負担になりました。
最後で、誰が“あの”誰のことである、ということは紹介されます。

普通に映画を見るように、この人は聞多さん、この人は弥吉さん、と素直に登場人物を覚えて、最後にえっ、この人がのちにそうなるのね、と思った方が楽しかったかなあ。
もしくは、誰が誰のことかよくわかった上でスムーズに見るか。
どっちの境地にもなれなかった中途ハンバなわたしでしたが、まあ仕方がありません(笑)。

今になって若干不安になりましたが・・・人物紹介、最後までなかったよね・・・?

テーマ、キャストにご興味のある方なら、楽しめる映画じゃないかと思います。
いい役者さんも出てらっしゃるし、ちょっと“美し”すぎる気もしますが、安心の爽快感も得られます。

テーマにより関心のある方なら、イメージを掴むのに役立つ面もあるのかな。
わたしはそうでした。やっぱり映像だと何かとわかりやすく覚えやすい。

●マンガ「長州ファイブ」

上記の映画をコミカライズしたものがあると知り、読んでみました。
それがユキムラさんの「長州ファイブ」(2009年刊)。

映画のコミカライズなので大筋は映画どおりなのですが
後発だけに、この本を読んではじめて分かったこともいくつかありました。

さらに、二巻になると、映画では扱われなかった、二人帰国後の日本での場面も述され、
個人的には「長州ファイブのその後」を少し知れたように思いました。
「その後」と言っても実際は、マンガは映画の最後(山尾の造船所時代)の前で終わっているので、時間としてはより短い部分を書いていることになるのですが。

史実と違う設定になっている箇所があるのを知ったのは次の本を読んでからですが、
それはドラマとして成立させるため(映画の時点で同じことになってた)でしょう、理解できます。

このマンガには、史実と映画を題材にした、個性派イケメン男子たちの物語という側面もあり。
そういう楽しみ方もできるかも。
とっつきやすくて面白いのはさすがコミックです。

こちらのマンガの方は、そこまで幕末や長州に関心がないんだけど、という方にも読んでいただけるといいなと思います。
時代状況がもともとごちゃごちゃしているので話が分かりにくい部分はあるかもしれませんし、本自体が多少今では手にしづらいかもしれませんが・・・。

●次にさらに二冊を読みました

萩 菊ヶ浜

さてさらに続けて二冊の本を読みました。
一冊はマンガですが子ども向けの学習マンガかな。
さらに一冊は中公新書です。

一冊読むごとに、扱っている範囲が増えるというか得る情報量が増えるというか、
要するに「その後」を取り扱ってくれるようになるので、階段を上がっているようで、楽しい。

たまたまですが、いい順番で接することが出来てるんじゃないかと思います。
次はそのお話をします。

Mel
人文探検家。日本とヨーロッパが主な守備範囲です。 福岡市在住。 作家、文筆家。小さなネット古書店主で映画監督のたまご。 「東雲ゆう」の名前で、「劇作スタジオアリドラーテ」を主宰。演出家、作家、役者として芝居作りもしています。

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