石見の人

森鷗外の本名は「森 林太郎」である。

これは有名な話だし、以前から知ってはいた。
しかし、さっきたまたまこの名前が字になっているところの前にいて、とっくりとこの字を眺めた・・・

「森 林太郎」。

木が多い。

どうして今までそう思わなかったんだろう。

姓が「森」のところにさらに「林」を持ってくるこの気持ち。
あげつらっているわけではけしてない。
絵にして思い浮かべれば美しい。
しかしこの重なり。
どんなことを考えてつけられた名だったのか。


鷗外はあまり読んでこなかった。
各所で洩れ聞く(洩れ読む?)鷗外の人となりに触れて、なんだかクセのありそうな人だ、とか、自分とは少し合わないかな、とか思っていた。
それでも不思議と気になって、いつか読もうと思い続けていた。
最近やっと読み始めた。


津和野は好きで、時々訪れる。
鷗外は津和野の出身である。
あまり親しんではいないにも関わらず、津和野に行けば「森鷗外記念館」には必ず寄る。
(一番最初は、そのそばにある、鷗外の親戚の「西周旧居」が目当てだったのだが。)

津和野駅から多少距離があり、徒歩で行くと少々かかる。
近くにはバス停もあるらしいのだがいつも歩く。
こじんまりしているが、静かでなんとなく趣がある。
先日寄ったらミュージアムショップが縮小されていてすこし残念だった。
次は自転車で行ってみるのもいいかもしれない。

余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス

と、鷗外は遺言に書いている。
この言葉の前に初めて立った時から、忘れられない文章になった。


先日、一冊文庫を読み上げて、もっともっと読もうと思うようになった。
「舞姫」は確かに名作だった。
どこが面白いのかわからないのに、面白い面白いと思って読んでいた。
読んだあとに、存在が心に残った。

どこが面白いとはまだ言えないのだが。

(管理人別ブログより再掲)

Mel
人文探検家。日本とヨーロッパが主な守備範囲です。 福岡市在住。 作家、文筆家。小さなネット古書店主で映画監督のたまご。 「東雲ゆう」の名前で、「劇作スタジオアリドラーテ」を主宰。演出家、作家、役者として芝居作りもしています。

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