福岡市美術館「大浮世絵展」

昨年末に福岡市博物館で国芳と芳年の展覧会を観た記憶も新しめな中、今度は市美術館で「大浮世絵展」をやっていると聞きつけました。
浮世絵好き、とまでは行きませんが関心度は高め。
これはやっぱり行かなきゃかなあ・・・。

リニューアルオープンしてた福岡市美術館

福岡市美術館に隣接する大濠公園

早春の明るい日差しにも誘われて、2月の半ば、大濠公園にある福岡市美術館に行ってきました。

福岡市美術館は昨2019年3月にリニューアルオープンしています。
実はここを訪れるのはリニューアル後初。
あれからもう1年も経つのか・・・。
美術館好きのくせに今頃初訪問か、本来ならリニューアル直後に行っていなければではないのか、と自分ツッコミをしつつ、時間の過ぎ方の速さにも驚きながら、
大濠公園をほぼ半周歩いて公園側のエントランスに到着しました。
以前はこっちの入り口はなかったのです。
ここから入れるようになったというのもウリのひとつだったっけ・・・
確かに便利。

美術館記念館等のリニューアルには、
「あれ?以前とどこが違うんだ?」
と思わせられることもたびたびですが
(目につかないところでものすごく変わっているらしいのはわかる)
今回のリニューアルはなるほど、けっこう目に見えて判る。
以前は確かにあちこち年季を感じさせた建物でしたが、そこは払拭されているようです。

空間がたっぷり取ってあって、美しく快適。
外界(大濠公園)の景色、外光、をうまく取り込んで、公園と溶け合うような居心地を提供しているようです。雰囲気もかなり明るくなりました。

でも、以前のあの美術館のイメージ、佇まいは確かにしっかり残っている。
すてきなリニューアルだな、と感じました。
そして収蔵品展示の仕方に感動・・・については、次の記事にまとめました。
よければ、続けてお読みください。

福岡市美術館のコレクション展 2020.2

大浮世絵展

今回の特別展示の看板

さて肝心の浮世絵展です。

今回の展示は
「五人の浮世絵師の代表作を一堂に」(チラシより)
紹介したもの。
五人というのは
喜多川歌麿 東洲斎写楽 葛飾北斎 歌川広重 歌川国芳。
彼らの作品が、一人一ブロックにまとめられて、この順番で展示されていました。

楽しかった。
面白かった。
どれもこれもさすがの内容です。
浮世絵展も初めてではないし、
本その他で見聞きしていて知っている絵も多かったのですが、
それでもやっぱり楽しめました。
その中で今度の鑑賞で突然思ったことが2つありまして、それは
・北斎、かなり好きだ
・広重の「東海道五拾三次之内」(そして「名所江戸百景」)ってなんてイイんだ

というものでした。

北斎、かなり好きだ

葛飾北斎。
以前から確かに、好きな絵師だと思ってはいました。
でも今回ほど、胸を打たれたのは間違いなく初めてです。

どういうわけだか、この度は突然、
見れば見るほど、すごい、これすごい、の連続で、
なんというか、月並みな言葉ですが「感動」してしまいました。

あー・・・これが、描くってことだ、描いたってことだ、
この人の「描く」ってすごいんだ・・・
背骨に何かが刻みつけられたような感覚。
「天才」という言葉は使いたくなくて、

ただ「凄い」という言葉がぴったりだと思いました。

芸術、とか創作、とか、使いにくい言葉ですが、
その言葉の芯になっている「もの」を今回北斎に感じたのです。

今までなんとなく知ってる人、だったけど、もっと知ろうと思いました。
すぐに本を探すぞ。

北斎と言えば杉浦日向子さんの「百日紅」を思い出します。
ああ、あれも、もう一度読もう。

その本のあとがきだかどこかに、杉浦さんが持つ北斎のイメージが書かれていて、
なるほど・・・と思ったこともありました。

「東海道五拾三次之内」

「東海道五拾三次之内」もある意味「おなじみ」ではありますが、
今回これまた何が起きたのか、これらの作品の前でも「感動」してしまいました。
こうなると見ているこっちの方になにかあったのだろうかと思われます。

描かれた風景はどれもこれも、明るい場面でさえ、しんとして美しい。
「叙情的」という案内がされていましたが、なるほどそのとおりだと思われます。

情景、というか「空気」が伝わってくるし、それに包み込まれてしまう。
しみじみと心地良い。
当時って「こんな」感じだったんだ、というのも、感覚として解るようです。

大名行列がところどころモチーフになっていることは今まで全然知らなかったなあ(笑)。

特に好きなのは「庄野」「蒲原」(東海道五拾三次之内)「大はしあたけの夕立」「亀戸梅屋舗」(名所江戸百景)です。
「亀戸梅屋舗」は萩の山口県立萩美術館・浦上記念館でも見たような気がするな。

国貞まぼろしの春画展

隣室では歌川国貞の「まぼろしの春画」展も行われています。
春画の展示は、数年前に話題になったことがありますね。
その時、福岡市博物館で、わたしも鑑賞してきました。

今回の展示でなるほどと思ったのが、当時浮世絵も華美を禁じられ、凝った摺りが出来なかったのに対し、はなから「地下」ものである(春画も禁止されていたらしい)春画では、遠慮は無用、とばかりに、ここぞと技巧がこらされていたという解説でした。
いいな、そういうの。

会場内の解説ビデオで、どんな「超絶技巧」が施されているかを詳しく知ることが出来ました。
面白い!

情報は隠れてる。ときもある。

さて、この特別展示がされていることを知ったのは、たまたま市美術館のサイトを覗いたからでした。
それ以前にも以後にも、新聞テレビその他でこの展覧会の告知宣伝を一切見ないのですが、どうしたことだったんでしょう。
他の展覧会の告知宣伝はあちこちでたくさん見かけるのに・・・。

市美術館の戦略から遠いところにいたのかしら、わたし。
と心配しつつ、いい情報は自分からちゃんと取りにいかなくてはいけないな、と改めて思った次第でした。

好きなことはちゃんと追っかけておかないと、ですね。

今回お借りした画像(キャプション付きは管理人撮影)
・ぱくたそ(www.pakutaso.com)
・ILBONG NAMによるPixabayからの画像
・Christine SponchiaによるPixabayからの画像

Mel
人文探検家。日本とヨーロッパが主な守備範囲です。 福岡市在住。 作家、文筆家。小さなネット古書店主で映画監督のたまご。 「東雲ゆう」の名前で、「劇作スタジオアリドラーテ」を主宰。演出家、作家、役者として芝居作りもしています。

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